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『月に寄りそう乙女の作法』プロローグ-冬に絶え春に芽吹く

エロゲ

ああ、これは素晴らしい。プロローグ終わったところで書いてる。ここで書くのはどうかと思うが、それだけ素晴らしかったんだ。ここまで素晴らしいと思ったプロローグは『white album2』以来かもしれない。

このプロローグはほんとすごい。なにがすごいって30分程度で読める文章量で一作分のテーマをコンパクトに詰め込んでいるところ。いい短編小説を読んだ時の気持よさがある。メジャーな漫画雑誌とかアニメを見ると「明るく希望を持って生きていきましょう」みたいなことを長ったらしくやり続けているけど、それをプロローグでやりきっている。後悔の気持ちを捨て前向きに生きることを誓う、ある種の生まれ変わりを物語とするのではなく、産まれて、死んで、生まれ変わる、生まれ変わったその先にはまた長い人生が続いている、生まれ変わるその先どう生きていくかの物語としてる。

このライターのすごいとこは、過去編の抜き出し方。この主人公の場合12歳くらいなんだけど、それだけ生きていれば膨大な時間があるわけで、その主人公が生きてきた人生がどういうものだったかというのを読者にわからせるには、どのエピソードを選ぶかというのが非常に重要になる。この主人公の人間性を伝えるのにシンボルとなりうるエピソードであれば、テキストを短くしても読者に伝えられることは多い。その主人公のシンボルとなるエピソードの抜き出し方が絶妙。短く、しかし濃密に、それをやり切ったプロローグ。

このプロローグのテーマは「有能だったが人形のような人生を送ったものの人間性」と「(精神的な)生まれ変わり」といったとこ。普通なら、このプロローグのテーマを本編として描きそうなもんだけど、それを前提として一歩先に踏み込んだテーマを描こうとしてる。

真紀士さんの企画・シナリオみたいだけど、プロローグは間違いなく真紀士さんの仕事だろう。シナリオの山場とか言回しもうちょっと工夫した方がいいとか思うとこはあったけど、端的に核心に踏み込むストレートな文章はそれはそれで気持ちがいい。なによりこの主人公と作品性にあっている。

ジュブナイルをプロローグでやりきって本編でなにを見せてくれるのか。楽しみで仕方がない。早速コムショップかAmazonで買うことにしよう。ここに体験版あるからみんなもやろう。プロローグだけでもプレイする価値が十分ある。

ここからどうでもいい話。つりおつ記事目当ての人はここで消すといいよ。

ここ最近、エロゲでなかなか当たりを引けなくて少しエロゲから距離おいてたけど、評価の高い作品はやはりいいもんだね。実は、novelは間違いなくハマれるとわかっていながら今まで意識的に避けていた。西又御大の絵を許容出来るまで時間を置いていたんだ。その甲斐あってか西又御大の絵がかわいい。まあ、元々キャラ集合絵に違和感を持っていただけで個別で見たかわいさは抜群なんだけどね。ここらへんのいぢさんにも同じものを感じてる。西又御大はいろいろ言われてることもあるけど、そこらへんは別に構わない。そこじゃなくてラインが硬い感じがすることが俺にとってはよほど致命的だった。目に生気が足りてないというか、見た瞬間惹きこまれるような力強さが感じられない。ぱっと見の印象の良さってすげー大事だと思うんだけど、西又御大はぱっと見かわいいんだけど、それにプラスアルファがない。つりおつのパッケージは桜をバックとしているけど、その背景とキャラクターの配置と表情がいまいちマッチしてないというか、全体で見たときの違和感が抜けないのね。無骨なラインとバランスの整ったラインが混じり合うことで全体のバランスが損なわれている感じといえばいいのか。ここらへん完全に俺の問題でしかないからいいんだけど、それが気になっている人って他にいないのかなーってのが気になる。まあ、これも絵の個性だから気に入る気に入らないの話でしかないから別にいい。大事なのは傑作の匂いがするという事実だけなので。