「おべんとついてるよ♪」「あん?おべんとってなんだよ?」

▼さくら荘のペットな彼女を見てたら「おべんとついてるよ?」と言ってるシーンがあったのだが、そこに強烈な違和感を感じた。別に、いちゃいちゃしんてんじゃねえよ、イケメン滅びろ、種死、とか思ったわけじゃなくて、いや思わなかったと言ったらそれは嘘になってしまうからそこは置いておくとして、この言葉の妙な感じが耳に付いたのだ。「おべんと」は考えるまでもなくお弁当の名詞だろう。手持ちの辞書で弁当という単語を調べてみた結果【弁当】-容器に入れて外出先に携える食事。また、その容器。転じて、仕事場などに取り寄せたり駅売店などで買ったりする簡単な食事。-となっており、ご飯粒がついていることをお弁当と指すとは辞書には書いてなかった。広辞苑に当たれば書いてあるかも知れないが、少なくとも一般的な意味としてご飯粒を指すことはないと考えていいだろう。ただ「おべんと(う)」という単語で調べてもなかったから、こちらの意味ではご飯粒ということになるのかもしれない。敬語表現で意味が変わるのはありがちだし結構ありそうな線だけど、お弁当という言葉の意味を考えると原型の意味と大分変わっているように思う。

▼お弁当というのは、そもそもご飯だけのことではなくおかずなども合わせた、携行した食事のことをお弁当と言う。おにぎり単品でもお弁当だし、幕の内だろうとお弁当だし、パスタであってもお弁当だ。ご飯に規定する必要ない。それどころか、現代のお弁当は米だけでなく麺なども中心となっている。コンビニ弁当では米が使われてないものも多い。お弁当=米というイメージがない今時の小学生には「おべんとついてるよ♪ひょい、パクっ♪」などと言ってもわからないのではないだろうか。逆説的に、この言葉が使われ始めたのは米が弁当の中心だった時代、もっと言うならおにぎり=お弁当と認識されていた時代からではないだろうか。お弁当=米=おにぎりで通じる時代でなければお弁当とイコールでご飯粒などにはならないだろう。これで、俺が一つ考えたのは「おべんとついてるよ?あー違う、そっちじゃない、も~そこじゃないよーしょうがないなぁ、はいっ……パクっ…食べちゃった(テヘッ)……///」などという古典的いちゃらぶはほんとうに昔の時代からやられていたのかもしれない。だがこれでわかるのは、リア充はいつの時代だって爆発してほしいものだってことだけだ。

▼もう一つ思いついてるのがあって「おじいさんや、ここでお弁当にしましょう。はい、おじいさんおにぎり。ああっ、おじいさんほっぺにご………あ?…お?……おべんとついてますよ。」「うん?おべんと?ほっぺに?ペタペタ、ああ、ご飯粒か。それをおべんとか。なるほど、はいはい。」くらいで始まったのかもしれない。名詞を思いつかなかったがために、ニュアンスで伝わるものを使ったらそのまま定着していったみたいな、そういう始まりでもあったのかもしれない。言葉がどのように広まっていくかは全く分からないが、だからこそどのような広がりをしてもおかしくない。言葉の原意を考えたり広まった経緯を考えてみると結構おもしろいよ。
▼いまふと思ったが、おべんとって言語センス古くないか…?ななみんからはどこか大阪のおばさん臭がすると思っていたが、なるほどこういう細かい積み重ねのせいか。ななみんおばちゃん疑惑。