おもしろい漫画見つけたよ『ふおんコネクト!』
S治さんが薦めていたから読んだ。
紹介だけ読みたい人は※まで飛ばして下さい。
初めに言っておく。俺は4コマ漫画が苦手。4コマ漫画は日本で一番普及してるマンガ形式で、おそらく日本人なら 99%の人が読める。読みやすいという点において4コマに優るマンガ形式はない。だが、4コマは何ページも続くと読みにくい。4コマ漫画雑誌とか読んだこ とのある人ならわかると思うが、あれは分量のわりに時間がかかる。内容の薄いまんがタイムきららですら時間がかかる(内容が薄いことを批判してるわけでは ない)。どうして時間がかかるか。
4コマ雑誌の基本フォーマットは1ページに2エピソード
1ページ8コマ
4コマは8ページが多い
8コマ*8ページで64コマ
作者によるけど8ページで64コマは普通の漫画(コマを自由に割っている漫画)と比べると多いほうだと言えるだろう。4 コマを読むのに時間かかる理由はこのコマ数が多いことが原因の一つ。
それだけではない。それは簡単な話で、基本的に4コマは4コマで一つの話をつくらないといけない。それは、1ページに2つのエピソードが入ってるということ。これは、普通の漫画ではありえない。なぜなら、普通の漫画は一本で一話を構成してる。大体は18ページで一話の起承転結をつくるもので(つくってないときもあるが)、たったの4コマで起承転結をつくらない。
- 1コマ目・起
- 2コマ目・承
- 3コマ目・転
- 4コマ目・結
4コマの情報量は普通の漫画と比べて格段に多い。
4コマ漫画は無駄ゴマや間を作りのためのコマが少ない。
ゆえに読者が一コマあたりにかける読み込みの時間が長くなり、結果4コマを読むのに時間がかかる。それが8ページで16本ものエピソードを読むこととなるのだから、時間がかかるのは当然だ。
そして、私はこれが嫌だ。普通の漫画を読むのに慣れた私にとって、これは疲れる。時間がかかるのもそうだが、情報量の多さに頭がついていかない。
私 はこれにまんがタイムきららを読んでいたときに気づいた。この雑誌の厄介なところは(一部連載を除く)同じような話しかやってないのに、読むのに時間がかかるところだ。学園日常ものが基本であるこの雑誌は、ギャグを狙う漫画は少ない。学園日常ほのぼの4コマが中心だ。ギャグも毒もシニカルさも薄い。内容はどうでもいいような日常の話。その中で少女たちは悩んだりするが、外から見てると「かわいい悩みだなー」と言える程度のものでしかない。刺激を求める人がこの雑誌を読んでもほぼ間違いなくつまらない。
私も一部連載を除くが、あまりおもしろいと思っていない。ちなみにオススメは『GA 芸術家アートデザインクラス』『キルミーベイベー』『はるみねーしょん』あと連載終了したが『平成生まれ』。二巻完結なんで、読みやすいと思う。
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※ここから紹介
さて、前置きはここまでにして『ふおんコネクト!』の話をしよう。これは日常系・学園モノである。この時点でダメリーチかかってる。
しかし、この作品、おもしろい
人に薦められたから言ってるわけじゃない。友達に薦められた作品をおもしろくないといって友達なくした俺が言うのだから本当だ。つまらなければ、そもそも書かない。この作品は明らかに他の連載作品と一線を画している。
この作品について挙げたい点は三つ。
- 一 つ、登場人物に個性がある。登場人物の個性とは『ツンデレ』や『いじられキャラ』『妹キャラ』のことではない。ここでのキャラクター及びキャラの定義は”コミュニケーションの場における振舞い方に関する類型的な役割”とする。登場人物とキャラクターの意味を混同しないように注意。詰め込まれた人間性と設定のことだ。日常学園モノを読んでいると、よく登場人物が『キャラクター』という枠にとらわれて人間性が剥奪されていると感じる。『天然キャラ』なのだから計算高いことをさせちゃいけない。『かわいい系』なのだからかわいくしなきゃいけない。そういう意識が前面に感じられる作品は、登場人物が活き活きとしていない。想定内の行動ばかりして意外性がない。作者の意図通りに動かされている登場人物たちというのが透けて見えるようで楽しめない。こういうのがキャラにとらわれたダメな作品。
しかしふおんコネクトは、登場人物をキャラクターの枠に押し込めて人間性を殺すようなことをしない。キャラを前提として設定を詰めるのではなく、登場人物経歴や人間性を突き詰めて考えて話づくりをしていると感じられる。個人がキャラクターの枠を収まっていない。『完璧主義の天才』や 『暴走破天荒系』などのキャラを与えられているが、その枠にとらわれていない。完璧だけどダメさも見せるし、きちんと完璧なところも見せる。 暴走するけど落ち着いてるところがあるし、策士の一面も見せる。キャラクター性にこだわって話を小さくするようなことがない。下の相関図がそのことをよく示していると思う。メインキャラたちである三日科家庭は複雑な家族であり、そのなかで形成された固有のパーソナリティと物語がしばしば展開される。
そしてそれが二点目。
- 読者を楽しませるためにあらゆる手を尽くす。これは決して誤解してほしくないのだが、他の作家さんが手を抜いているなどという意味ではない。作者のざら先生が尋常ではない努力と研鑽を重ねた結果だと言いたいのだ。とりあえず、下の4コマを見てもらいたい。 左の注目点は食事する二人、真ん中はコマ毎に衣装が変わるキャラ(ふおん=主人公)、右はつり革にぶらさがるとこと、停車ボタンを押したかったけど押せなかったふおん。これのおもしろいところは、話の本筋が進みながらも別で勝手に動く登場人物たちだ。物語が一本筋で展開するのではなく、別のところで物語が展開している。それが交差する瞬間があり、その瞬間たまらない快感を覚える。もちろん、すべての話でそうなっているわけではないが、この作品は並列的に話が進んでいることが多い。話を一つにまとめずに複数で走らすのは楽しませる工夫だ。それをコマの中に同居させて、登場人物たちを遊ばせるというのも読んでいてたまらないおもしろさがある。その分、話を考えるのが大変になり作画もめんどくさくなる。それをやっているから、ざら先生の作品は楽しく、全力で読者を楽しませようとしている感じを受ける。
- 三点目は、ネタが多いこと。下の4コマは特にお気に入りのエピソード。頭に玉を二つつけたこの女の子は瞬間記憶能力を持っていて、頭の中で写真として記憶を保持していつでも引き出せる。音などは不可能。
設定をうまく使って話を練ってくる。それでいて登場人物たちに遊ばせて、無理な設定を楽しく使おうとしてるのもグッとくる。検索アイコン使ってるのも絵で楽しませようとする気概を感じてよりグッとくる。過去の映像を探る画って結構悩むところだと思うんだけど、うまく処理してる。あと、ざら先生の特徴としてはパロが多い。
さらっとこういうの入れてくる。ほんとにこういうのが多い。一話に一つは必ずパロネタが仕込まれてたと思う。わからないのも多かったけど、アクセントになってたしパロで外すってことが少ない。あと、ネタの多さとは少し違うかもしれないが、勉強になるネタがたまに仕込まれる。キャラが交わすやり取りを見てると、ざら先生は頭がいいんだろうなーと思わされることが多々ある。
「『報道しないこと』これがマスコミ最強の力だよ」これを読んだときは思わず唸って考えさせられてしまった。細かいものはこれとかこれを読んでくれれば。
ふおんコネクト!の紹介と感想入り混じったものになったけど、主にはこんなもん。4コマ漫画をあまり好きじゃないって人ほど読んでほしい4コマ漫画。クオリティとしては4コマの最高峰だと思う。設定が練られているタイプの作品が好きな人ほど薦めたいかな。オススメしてくれたS治さんには感謝です。いいもん読んだなーという感覚をみんなにも体験してほしかったから紹介しました。
実はこのブログURLにMANGAと入ってるのでその役割もこれからは、こなしていきたいなーと思ってます。ですので、よければまたよろしく。
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※追記
この作品、4巻完結らしい。まさに4巻読んでる最中で、この巻で終わると知って唖然としてる。でも4巻完結で読みやすいと思えるし、オススメ度は増す。
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