コーヒーのブラックはかっこつけ論争

これ読んだ。

なんつーか、みんなすごいと思う。俺は舌バカだから、味が大雑把にしかわからない。というか気にしない。胃の中に入ればみな同じではないけど、味覚の要素(酸味、甘味、辛味とか)が大雑把に合ってれば違いとか気にならない。端的に言うならうまいとこのカレーとまずいとこのカレーで違いがわからない。わからないわけではないけど、わかったとしてもどうでもいい。俺にとってコーヒーはこれに近い。今までおいしいコーヒーを飲んだことがないから、そうなだけかもしれない。美味しいコーヒーを飲んだら変わるのかもしれないけど、今まで美味しい〇〇を食べても、それ以降拘りを持つことがなかったから、コーヒーでそういうことが起きるとはどうにも考えにくい。うちは中流家庭だからそこそこうまいものまでなら食ったことがあると思う。でもまずいものでも食える。

俺のような人間からすればみんな食べ物にこだわりすぎなように見える。どこのラーメン屋で食おうと同じだし、どこのうどん屋で食おうと同じだ、みたいな。俺も元うどん県在住だったんでおいしいうどんの味を知ってる(うどんはうまいものを食ったことある自信ある)んだけど、だからといって今冷食のうどんが食えないかといえばそういうことはない。うまいうどんを知っているけど、冷食のうどんが食えないわけではないし、冷食のうどんは俺のなかの最低基準を満たしているのでおいしいとすら思ってる。なんていうか、俺の食の美味い不味いは最低基準を満たしているかなんだと思う。それで、その最低基準が一般的な基準と照らし合わせて恐ろしく低い。たとえばスーパーの出来合いの食品、カツ丼を買ったとして、そのカツ丼は自分でつくったものよりも飲食店で出されたものよりも間違いなくまずいと言える。俺としてもおいしくない、でもそれを俺がまずいということはほとんどない。なぜなら、それはカツ丼として最低限を満たしているから。カツがあって具材があってメシがあってタレがかかってる。そしてレシピ通りにつくっていれば、それはカツ丼。大抵まずくはならない。うまくないカツ丼があるだけでまずいカツ丼にはならない。そういうカツ丼を俺はまずいとは言わない。そして、そのカツ丼とうまいカツ丼の優劣を俺はつけない。同じ場に出されてうまいカツ丼とうまくないカツ丼のどっちを食べると言われたらうまい方を選ぶんだけど、そういう意味じゃなくて、まずい方でも安ければまずい方を選ぶし、うまい方でも安ければそっちを選ぶということ。

これどう言うことかというと、味と値段の効用では値段のほうが上と言っているだけに過ぎない。値段に勝るものなしという非常に貧乏性な意見。ただ、これ俺にとっては食に対する感心の薄さを表している。舌のいい人にとって信じられないのかもしれないが、俺にとっての食の優先順位は非常に低い。見分ける舌もこだわる価値観も持ってない人間からすれば栄養さえ取れて食の楽しさのいいとこ取りさえすれば、それ以上こだわる必要もない。つまりカレー食いたいと思ったときうまいカレーを食いたいと思うのでなく、普通のカレーで満足できるようなそういう食の満足感。コーヒーもこれに属する。俺が欲しいのはコーヒーのカフェインと苦味なんかのエッセンスなのであって、コーヒーの匂いとかうまさとかそういうのを見極める舌はない。だから缶コーヒーのブラックで満足できるし、ファミレスのコーヒーで文句言わない。俺がコーヒーをブラックで飲むのは、缶コーヒーの砂糖入りのまずさがトラウマになっているのが大きく、コーヒーであるならそれでなんでもいい。事実、出されたものなら文句言わずになんでも飲む。カフェインと苦味が欲しいだけだ。だからカフェイン詰めた錠剤に手を出してる。味の分析なんて出来ないし、こだわりを持つつもりもない。コーヒーで重要なのは眠気覚ましであって、眠気覚ましのためにコーヒーを飲むなら苦いブラックだ。それを何年も続けた結果、惰性でブラックを飲むようになって今ではその苦味も慣れで楽しめるようになった。クセが慣れて気に入っただけ。俺にとってのコーヒーのブラックはそのくらいどうでもいいこと。食べ物なんて好きに食べりゃいいし、飲み物なんて好きに飲めばいい。飲みたいものを飲めない、食べたいものを食べたいように食べられないなんて窮屈な世の中はめんどくさい。そういうのにこだわればめんどくさくなるというのを『目玉焼きの黄身いつつぶす?』でも読んで知ればいいと思う。食べ物なんて好きなように食えばええ。美味い不味いの基準なんて曖昧なもんで案外みんな適当言ってるだけかもしれへんで。

 

 最後に少しちゃぶ台ひっくり返すけど、高校生のときブラックを飲んでたのは間違いなく意識してた。でも時間と共にその意識も非常にどうでもよくなって、今では飲みたいから飲んでいるだけになった。こだわりのない人なんてそんなもんだし、大抵の人間はこだわりねえよ。