世界征服謀略のズヴィズダー

おぉーもーれつー

星空めておがまるで素人にしか見えない衝撃的な脚本。シリーズ構成に入って自らが脚本を手掛けている回も多いから、ある程度自分で話をつくっているはずだが、どうしてこんなことになってしまったのか。アニメの脚本をやるのは初めてのはずだから、仕方なかったのか。

まず情報の出し方が下手。キャラのバックグラウンドを小出しにしながら物語を進めるのは普通の手法だが、まさか詳細を全く語らないとは思わなかった。ヴィニエイラ様が幼女である以外よくわからないまま終わるまさか。一番語られたのがゴローさんとヤグザ一家で、ナターシャやヴィニエイラ様がどういう存在なのかよくわからない。詳細を語らずにおおまかな情報から視聴者に想像させる隙を残したつもりだろうが、これはダメだ。そもそも興味の湧く対象であるという前提がなければ相手のことを知りたいなどと思わない。いくら大上段に構えて「さあ、かかってこいやああああああ」って叫ぼうと興味がなければ「えっ、あの、結構です…」といって立ち去られる。物語に引力がないから、興味が掻き立てられない。それがさらに物語をつまらなくさせる悪循環起こしてて、もうどうしようもねえ。

最大の問題はこの作品には思想が感じられない。”世界征服”というテーマは悪くない。だが、それに中身がともなってない。世界征服ってなんなの?って問いに答えを持ってない。征服という言葉の中身を考えることもなく作品をつくりはじめてる。だから、征服に中身が無い。なんで征服するのか、征服とはなんなのか、征服をするに至った原因はなんなのか、ヴィニエイラは征服を通してなにを成し遂げたいのか。キャラクターを深くつくりこんでないことが明らか。

はっきり言ってしまうが、作品のつくりこまれ方がプロの仕事ではない。童話的なシナリオづくりなのはわかる。おおまかに設定をつくっておいて、あとは各話のテーマと流れで話をつくっていくタイプだろう。童話のようにテーマ先行で物語がつくられるタイプの作品だと思う。なのになんで肝心のテーマがないんだよ。タバコをテーマに扱った3話だけが、テーマに基いてつくられていて、それ以外の話には核となるテーマがない(三話の脚本は監督の岡村天斎、さすが)。全体の設定がかなりテキトーだから、各話で軸となるテーマがしっかりしてないと、ふわっとした作品にしかならないのは自明の理。それが出来なかったのは時間が足りなかったのか、周りから口を出されたのか。おそらく、周りの口出しが原因で各話のテーマが弱くなっていったんだと思うが、星空めておに個性を出し切らせるように脚本を書かせられなかった時点で負け。星空めておは初脚本でもあるから、萎縮しちゃったんじゃねえか。プロの仕事が出来てないのが非常に残念。

岡村天斎さんも細かい設定よりも勢い重視の人だから、わりといけるコンビだと思ったんだが…

未成熟はヴィニエイラ様やナターシャだけでよかったのに、作品まで未成熟にするとはなかなかロリ魂を感じさせてくれるわ。