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『ハルキス』に込められた願いの言葉

”責任とって”

本作で結ばれたヒロインは必ずこの言葉を使う。本作のキーワードだ。

生きることが楽しくない主人公の修司は、責任という枷がなければ生きていくことが出来ない。葵が指摘していたように、修司がだれとも結ばれないまま白石の家を出ていたら野垂れ死ぬ結果となることは想像に難くない。生き続けるための原動力を持たないのが修司だ。だれか、もしくはなにかから押し付けられる義務がなければ彼は自発的に生きることをやめてしまうだろう。そういう人間性で、そういう境遇にいた彼は一人で生きていくことが出来ない人間だ。死は終わりである。続けなくていい、やめられるという誘惑は生きているものにとって時にとても魅力的に見えてしまう。だから、修司が生き続ける選択をすることは責任に縛り付けられなければならない。これはとてもネガティブな原動力だと思う人もいるだろう。だが、私は本作が発したこのメッセージをとても尊いものだと思う。一人で生きられない人は必ずいるのだ。そういう人たちに対して誠実なメッセージを伝えたのが『ハルキス』という作品だ。修司に生きて欲しいと思うヒロインたちが願いを込めて放った言葉が『責任をとって』という言葉であり、私はこの言葉をとても美しいものだと思うし重い言葉だと思う。その重みが修司を救い、この物語を通して私たちも救われることを制作者は願っているのだろう。ここに込められた”祈り”をきちんと受け取りたいと私は思うし、他の人たちも受け取れることを祈っている。